スポーツイベントの「延期」「中止」「無観客」の違いを4つのポイントで解説

スポーツイベントの「延期」「中止」「無観客」の違いを4つのポイントで解説

新型コロナウイルスの影響で、世界中で多くの各種スポーツのプロリーグ、大会が「延期」となっていますね。Bリーグ(ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ)に関しては、3月20日から4月1日までの合計95試合が「無観客(当初は131試合)」から「中止」となりました。この今スポーツ界では、試合(興行)に対して、

  • 延期
  • 中止
  • 無観客

という3つの方針に関して、話題が集中しています。
今回は、この3つの開催方法に関して、スポーツビジネスの側面から4つのポイントをお話したいと思います。

4つのポイント

その4つのポイントとは、

チケット収入
グッズ収入
放映権収入
スポンサー収入

です。この4つのポイントをスポーツビジネス面(収入面)で紐解くと、その大きな違いは、

「延期」

まず「延期」、

  • チケット収入→〇(平日開催に変更の場合、収入減)
  • グッズ収入→〇(平日開催に変更の場合、収入減)
  • 映権収入→〇
  • スポンサー広告露出→〇(会場、放送共に)

「無観客」

次に「無観客」、

  • チケット収入→×
  • グッズ収入→×
  • 放映権収入→◎(視聴率UP)
  • スポンサー広告露出→△(放送のみ)

「中止」

そして、「中止」、

  • チケット収入→×
  • グッズ収入→×
  • 放映権収入→×
  • スポンサー広告露出→×

上記に記載したのは、プロスポーツチームがホームゲーム興行を開催した場合の主な「収入」にフォーカスをして簡単に比較してみました。

ご覧になって明白な通り、Bリーグの「中止」という決断がリーグにとっても、チームにとってもどれだけ苦渋の決断だったかがわかると思います。一部報道では、Bリーグチームの総損失額は

131試合を「無観客」で開催した場合=20億円

と予想されていましたので、この95試合の「中止」は試合数が少ないとはいえ、それ同等もしくはそれ以上の損失があるのではないかと考えられます。

また誤解の内容に説明しておきたいのは、放映権収入はその各種スポーツリーグやその放映権のライツホルダー(JリーグでいえばDAZN)との契約内容により、

  • チームへの分配金がシーズン当初から決まっている
  • チームの視聴率に応じて、傾斜配分

と金額はまちまちですので、一概に「◎、〇、△、×」の評価ができないことはご承知おきください。

そして、「無観客」の場合のスポンサー露出に関しては、会場にいる観客に対する露出という意味では「露出無し」ですが、「無観客」であれど、しっかりとクラブやリーグの提示する条件(取材申請、指定期間の検温など)をクリアすれば「メディア」の記者さんが取材することはできます。ですので「メディア」取材による、「TV」「新聞」等への露出はありますが、その露出量というのは計ることが難しい(実際にはできます)ので、「放送」による露出と、会場に来た「観客」への露出という意味合いで記載しています。

無視はできないチームに関わるパートナーの損失

Bリーグの大河チェアマンが3月17日の会見でも発言していましたが、「中止」による遠征費の削減という側面ももちろんあります。

しかし、チームの多くは年間の遠征費を一つの旅行代理店と契約、スケールメリットとしてディスカウント(特別価格)で提供してもらっていることがあります。その場合、旅行代理店からすると試合数(発注数)が削減されることにより、スケールメリットを出せない可能性がありますし、この新型コロナウイルスによる、大打撃を受けている旅行業界にとっては、「チームは助けたいけど、我々も…」というのが正直なところでしょう。

また多くのクラブは、ホームゲームの開催に当たって必要な外注の取引先があります。例えば、

  • 人材派遣会社(アルバイトスタッフ)
  • 警備会社(場内外のセキュリティスタッフ)
  • 設営会社(テント、看板等)
  • 音響会社
  • ケータリング会社 etc

その多くは上記の旅行代理店と同じ様に、年間を通した(ホームゲーム試合数)発注を見込んで、スケールメリット(ディスカウント)で見積を出していたり、スポンサードという形でチームに還元をしたりと、通常の取引とは違った金額設定をしていると思います。

「延期」であれば、平日開催等で集客が見込めずに発注の規模が小さくなることはありますが、収入がなくなることはありません。しかし「中止」となると「中止」になった試合数分の収益が無くなるということですので、地方のプロスポーツチームの外注先で地元中小企業であれば、チームとの取引が売上の中心の会社も多いと思いますので、その「中止」に伴う収入減は会社の存続にも影響するかもしれません。

ここまで想像すると、大河チェアマンの決断が改めて、苦渋の決断だったかが容易に想像できます。

「失われた広告機会」

また、「中止」という事実が決定したと同時に、チーム担当者は目を背けてはならない事実と向き合わなければなりません。それは、

「失われた広告機会」

です。

チームのスポンサー企業の多くは、チームと年間契約(単年、複数年)をしています。またその契約の中には年間の露出機会の数(試合数や参加大会など)や、契約書には明記されていないと思いますが、その露出効果をスポンサー提案書等に記載しています。その露出機会、露出効果にコミットし、年間のスポンサー料をチームに支払っています。今、そのコミットしたはずの露出機会の数が崩れようとしています。

多くの契約書には、「不可抗力」による契約の目的を達成できない場合の契約の解除・解消の条項が盛り込まれています。ポイントは今回の「新型コロナウイルス」の影響による「中止」が、それぞれの契約書に記載された「不可抗力」とどこまで「=」なのかです。「チーム」と「スポンサー」はお互い支えあう存在のはずです。是非とも双方が良心を持った協議を重ね、この問題を解決することを願っております。

まとめ

上記のように収入の側面から、「延期」「中止」「無観客」を比べ、その収入の減少が影響を及ぼす、ホームゲーム興行に関わる

パートナー企業や、露出機会の減少によるスポンサー企業との契約内容

にまで触れて来ました。

上記のステークホルダーのように、チームと深く関わるパートナーに対してのフォローは、先日投稿した、

プロスポーツチームの経営戦略。中断期間中にやっておきたいフレームワーク。

にも、書いていますので是非併せてご覧ください。

私も、今まで直面したことがなかったので、スポンサー企業との契約に於ける、「不可抗力」の条項に関して、深く考えたことがなかったことを反省しております。次回はこのスポンサー契約に伴う契約書の作成ポイントに関してもお伝えしたいと思います。