プロスポーツ選手契約書作成のポイント解説【重要なのは個別契約書】
- 2020.03.24
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今回は、プロスポーツ選手(団体競技)がチームと契約をする際の「選手契約書」の作成ポイントについて解説いたします。
最終的にはチームの顧問弁護士や、選手側は、個別に契約する弁護士さんや、マネジメント会社や仲介人がいる場合は、その会社が契約する弁護士さんのリーガルチェックを双方行った上で、サインをするのが一般的ですが、
と疑問に思っている、新規チームの運営会社の担当者や、
と考えている新人選手や、仲介人やマネジメント会社と契約をしていないプロスポーツ選手など、そんな方々の疑問や、選手、チームに双方にとって納得の行く契約をする上でのちょっとしたアドバイスになればと思います。
お互いに疑問点を全て解決した上で契約書にサインをすることは、その選手のシーズンを通したパフォーマンスにも影響するので、是非、お互いしっかりと対話をしてください!
選手契約書作成のポイント
ずばり選手契約書の作成ポイントは、
基本的には、この二つだけです。
特殊はケースを除いては、この選手とチームとの間で契約する「基本契約書」(金額と契約期間を除いては、ほぼどの選手も同じ形式・内容で作成します)と、チームと各選手とが個別の条件を記載する個別契約書(チームによっては覚書の形式)を作成すれば、選手契約に関する基本的な内容は、ほぼカバーできます。
基本契約書の項目
「基本契約書」に於ける、記載項目は、
- 基本報酬
- 費用の負担について(チーム活動の旅費、宿泊費)
- 休暇について
- 病気やケガの報告について
- 肖像権利用について
- 契約の解除規程について
- 罰則、罰金の規定について
- 契約期間について
この基本契約書の項目に関しては、日本サッカー協会の公式ホームページの「日本サッカー協会選手契約書」やBリーグの公式ホームページの「選手統一契約書」を参考にみてしてください。Bリーグは、Jリーグをお手本にして各種規程等を作成し、運営や事業戦略に関しては、オリジナルティを出しているリーグですので、この二つのリーグの「選手契約書」を比べてみても分かる通り、ほぼ一緒です。
個別契約書の項目
続いては、「個別契約書」に於ける、記載項目です。
選手契約の中で、個人的に最も重要だと思うのがこの個別契約書です。
特筆すべき条件がなければ、前項の中でお伝えした「基本契約書」の項目内容を、チームと選手が合意するだけで契約の締結自体は問題ありませんが、この「個別契約書」が選手、チーム双方にとっての醍醐味?と言いますか、契約交渉の担当者ならば、腕の見せ所と言っていいのではないでしょうか?
簡単に「個別契約書」の中身について説明すると、「基本契約書」の中に記載されていない、当該選手とチームとの間の個別の条件を記載した「覚書」のような物です。
その、個別の条件に関する主な内容は、私の経験からですと下記のような内容があります。
- 優勝ボーナス
- 昇格ボーナス
- 個人成績ボーナス
- 出場時間ボーナス
- チームもしくはチームスポンサー等が主催するイベントへの出演料
- 個別グッズ収益に対する手数料
- 家賃補助
- 水道、電気、ガス代の補助
- 車の支給
- 引越し代 etc
その他、特に外国人選手の「個別契約書」に関しては他の重要項目がありますので、外国人選手との個別契約書に関しては、また別の機会にお伝えできればと思います。
まずはじめに、「基本契約書」の中で契約の中心となる
その「基本契約書」で決定された条件が、選手にとって充分に満足の行く内容ではなかった場合があります。その満足いかなかった部分をこの「個別契約書」の中でチームと交渉して、選手側は自分のモチベーションに変えるのです。
選手の望む基本報酬と、チームの提示した基本報酬に差があった場合、その差をボーナスという形で交渉することが交渉の場で良くあります。
サッカー、バスケなど「ゴール」という目に見える結果があるスポーツでは、そのゴールやゴールに結びついたアシスト数に関して、選手とチームの間で目標設定をし、その目標をクリアした際に「ボーナス」が発生するという内容が一般的でしょうか。
ただチーム側で交渉をした経験から、個人的にはこの設定に関しては「ノー!」ではないですが、あまり納得していない部分もありました。なぜなら、例えば「ゴール」数をボーナス給に設定した場合、チームスポーツに於いては、
と単純に思いを巡らせたことがあるからです。
勿論、チームスポーツのプロスポーツ選手のほとんどがチームの利益(勝利)を最優先に考えてくれていると信じていますし、そういった「メンタリティ」「協調性」をもった選手をチームは獲得していることとは思います。では、個人プレーに走るのを避ける為に、「ゴール」数をボーナス設定から外すと、どうでしょう。もちろん、それは攻撃的な選手にとってはモチベーションを下げる事になりますし、逆に積極性の無い選手には、「もっとわがままになって、ゴールを貪欲に狙え!」と指示することもあり、矛盾が生まれます。
そんな思考を巡らせると、どんなオプションで個別契約書を結べば、チームにとってプラスに働くのか、答えの見えない無限ループに入ってしまいます。
ある種、ここは失敗と成功を繰り返し、選手の個々の性格やその時のチーム内の立場、そしてもちろんチームの懐事情、そういった事を考慮し、「正解」ではないですが、
をし続け、データと経験値を積み重ねることが大切かと思いますし、次の交渉の場に活かすことができるでしょう。
個人的には
をおススメします。
そもそも、その選手にチームが求める数字を考慮して、基本報酬の設定をしているので、個人成績は既に基本報酬に反映されているという考えで交渉をしていました。
まとめ
簡単ではありますが、ここまでプロスポーツ選手の選手契約に於ける契約書の作成ポイントについて、「基本契約書」と「個別契約書」の2点から解説してきました。
最も重要な事は、チームと選手の契約締結は
であり、
だと思ってます。
チームが強くなるため、勝利する為には、選手とチーム・フロントが「信頼」し合わなければならないのは当然ですが、それが中々難しい。サッカーで言えば、20人~30人、バスケットで言えば12人~15人の選手とその監督・コーチ陣、全ての人間が契約条件に納得し、全ての人間と強い「信頼関係」を結ぶことは、非常に困難で、1年を通して、魂の擦り減る作業だと思います。
逆に言うと、その「信頼関係」が成り立っているチームは、第三者の評価で戦力が整っていないと思われるチームでも、「強い」ということです。
今まで以上に繊細に作成してみてはいかがでしょうか?
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